Cocco「強く儚い者たち」人間の愛の在り方と魚の儚い命の表現 <魚歌詞シリーズ>

1997年に発売されたCoccoの2ndシングル「強く儚い者たち」
Coccoのブレイクのきっかけとなった切なく、痛々しい悲恋の曲を読み解いていきましょう。

Coccoという人

沖縄県出身で、高校時代はプロのバレエダンサーを目指しオーディションを受ける日々を過ごしていました。

プロのバレエダンサーになるための軍資金を手に入れる目的でビクターの新人歌手発掘オーディションに出場したことが、歌手としてCoccoが開花するきっかけとなりました。


そして彼女は”譜面が読めない”シンガーソングライターです。
Coccoにとって歌を歌うことは「感情を吐き出す行為」でしかありませんでした。

頭の中で響くメロディと歌詞を口にしているだけに過ぎなった曲が皮肉か奇跡か…ヒットを呼ぶことになります。


そんな中、歌手になった訳も「バレエで自分を認めてくれなかった人を見返したい」「歌手でお金を貯めて毎日踊り続けられる劇場を作りたい」という不純なものだったということに気付くのです。

Coccoは吐き出すように作った歌たちに彼女自身愛着を持てなかった=歌うことが苦しい行為に変わってしまった。という事で、次第に自身の中の闇を絞り出すような歌をたくさん作り上げていく事となっていきます。

とても傷つきやすくて、繊細で、見たくないもの聞きたくないものに蓋ができなくて…そんな葛藤を抱いていました。

心の傷は何にも包まれることなく、生身のまま詞に落としこまれていく・・・繊細な感性と先天的な奥ゆかしき母性の持ち主であるCoccoは、心理の本質的な構造を感覚で捉える人物でもありました。

Coccoの活動

Coccoはテレビなどの露出は少ないですが、一度見ると忘れられない大きな瞳が印象をさらに強調させています。

また拒食症と自傷行為に苦しむ姿が、たびたび見られる様になりました。
しかし、絵を描いたり、芝居をしたりすることで表現の幅を広げていき感情のはけ口を歌以外に持てるようになっていきます。


再発することもあり、一生向き合っていかないといけないものではありますが、それでも前を向いて強く生きている女性を自分自身を通して表現しています。


2004年に歌手として活動を再開してからは、舞台、単行本、絵本、そして映画への出演など活躍の幅を広げています。
2017年7月には自身の20周年を記念するライブが行われ、「FUJI ROCK FESTIVAL2017」、「SWEET LOVE SHOWER2017」への出場も果たしました。

また、2018年10月の「沖縄のウタ拝2018 (THE OKINAWAN UTAHAI2018)」にも出演しています。

「強く儚い者たち」

歌詞の一部を抜粋しました。


作曲:柴草玲
作詞︰こっこ

この港はいい所よ
朝陽がきれいなの


だけど 飛魚のアーチをくぐって
宝島が見えるころ
何も失わずに
同じでいられると思う?

私の部屋へいらっしゃい
甘いお菓子をあげましょう
抱いてあげましょう


だけど飛魚のアーチをくぐって
宝島に着いた頃
あなたのお姫様は
誰かと腰を振ってるわ


きっと飛魚のアーチをくぐって
宝島に着いた頃
あなたのお姫様は
誰かと腰を振ってるわ

人は強いものよ
そして儚いもの

出典: https://www.uta-net.com/song/10205/

心理の本質的な構造を感覚で捉えるCoccoは「心休まる場所」をと表現しています。
その場所を訪れた者、その場所を案内する者、2つの視点を1つの曲で見事に表していると私は感じました。


飛魚が飛ぶ理由は外敵から身を守るためであり、彼らは生き抜くために飛んでいる。

生き抜くために飛んでいる飛魚のアーチをくぐる。


この曲だけをとっても、人によって捉え方が異なります。大航海時代を舞台にしている、とも捉える事も出来ますし現実社会を舞台にしている、とも言える不思議な歌詞ですね。

主人公は王子様という人もいれば、世界をまたにかける航海士という人もいます。


自分のお姫様は他の男と腰を振っている、と主人公に悪女の誘惑が囁きます。

それは叶わない恋と残酷な結末を意味している。
そして「人は強く儚いもの」と氷の様な優しさで主人公に止め(とどめ)を刺すかのように傷つける。
そんな風にも捉える事が出来ると私は思いました。


確実に帰ってくるとは限らない人を、人はいつまで待つべきなのだろうか?
一人で死んでいく決心がつかないなら、どこかで見切りをつけなければならない。
そして、見切りをつけるなら、なるべく若い内の方が痛みが少ない。待つというのは、
この葛藤との戦い。

女は過去に傷を負った人間ではなく、今まさに傷を負おうとしている人間なのではないだろうか。そんな疑問がよぎりました。


女は「あなたのお姫様は誰かと腰を振っている」「そう、今の私のように」「私の王子さまはきっと私を裏切っている」「そう、今のあなたのように」これがこの曲の構造と捉えている。と考えられます。


この曲で語られる世界観はどこか寓意的で、かつ生々しく、そして微かにやさしい。それは、まるで自分の経験を投影している曲にも聞こえてくる。葛藤と弱さ。裏切りと強さ。悲恋と儚さ。

あなたは、どんな風に捉えて「強く儚い者たち」を聞きますか?

出てきた魚

飛魚(とびうお)

飛魚は生き抜くために水面を飛びます。
傍から見たら、綺麗な光景かもしれませんが、魚たちは命がけで飛び続け最後には…。
そう思うと、なんだか切なさが込み上げてきますね。
余談ですが、そんな飛魚にもちゃんとした料理方法があります。

  • 刺身
  • トビウオの塩焼き
  • トビウオのポワレ

などがメインに料理されて食べられています。

まとめ

私は今回、この曲を取り上げたのは【魚が教えてくれる儚さ】を表現していると思ったからです。

飛魚の生き様と人間の生き様が交差しているかのようにも個人的に思いました。あなたは、この歌詞に何を重ねて表現しますか?

by sireina

公式サイト:http://www.cocco.co.jp/

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